ウェブアクセシビリティ方針のひな形
目や耳が不自由な方でも、ウェブサイトを使えるようにする。その決めごとを会社として文書にしたものが、ウェブアクセシビリティ方針です。
取引先や入札で「方針はありますか」と聞かれたときに出すものです。
この資料は、自社で作るための型です。
8つの欄があり、それぞれに、私たちが自分のサイトのために書いた文を見本として添えました。
はじめに読んでください
この型を埋めれば方針ができる、というものではありません。
8つのうち2つ(5番と6番)は、実際に試験をした結果そのものを書く欄です。
確かめないまま書くと、事実と違うことを公開することになります。
その2つ(5番と6番)には「ここは、実際に確かめてから書く欄です」と書いてあります。
ほかに3つ(2番・4番・7番)は、試験・達成・ページの数え上げが済んでいないと、見本をそのまま写せません。書き方は、その欄に添えてあります。
試験とは、自分のサイトのページを1枚ずつ確かめる作業のことです。この資料では、試験のやり方そのものは扱いません。最後の節に、私たちが何をしたかを書いています。
この資料は、印刷してお使いいただけます。キーボードの Ctrl と P(Mac は command と P)を同時に押すと印刷の画面が出て、そこで「PDFとして保存」を選べます。
方針と試験結果。2つそろって、はじめて「準拠」と名乗れます
「準拠」と名乗るには、2つを公開することが要ります。
- 方針を出すこと。
- 試験をして、その結果を出すこと。
片方だけでは名乗れません。
「準拠」と名乗るなら、作る文書は2つです。1つはこの型で作る方針、もう1つが試験結果です。この資料は方針のほうの型で、試験結果の書き方は扱いません。私たちは同じページに続けて載せています。
JIS は国が定めた規格です。その規格にどこまで対応できたかを、どう名乗るか。それを決めているのが、対応度表記ガイドラインという文書です。出しているのは、情報通信アクセス協議会のウェブアクセシビリティ基盤委員会です。
この「準拠」という語は、決まった言い方の1つです。ほかに「一部準拠」「配慮」があり、この3つ以外の言葉は使いません。対応度とは、この3つのうちのどれに当たるか、ということです。
この3つの言い方は、規格そのものが決めたものではありません。この委員会が、日本で使う言い方として独自に決めたものです。
どれを書くかは、好みで選ぶものではありません。試験をしたかどうかと、その結果で決まります。
先にひとつ。レベルとは、確かめる項目の多さで決まる段階のことです。この項目のことを、規格では「達成基準」と呼びます。下からA・AA・AAAの順で、上へ行くほど項目が増えます。
3つの意味は、次のとおりです。どの言い方をするときも、方針を出すことが要ります。
| 言い方 | どういうときに使えるか |
|---|---|
| 準拠 | 試験をして、目標にしたレベルの項目を全部満たしていたときです。方針とあわせて、試験結果も公開します。 |
| 一部準拠 | 試験をして、満たせないものが残っていたときです。方針とあわせて、これからどう直していくかを公開します。試験結果まで出すことは、ここでは求められていません。 |
| 配慮 | この規格を見ながら作った、と言うだけのときです。試験をしたかどうかは問われません。方針とあわせて、目標にしたレベル(または、参考にした項目の一覧)を公開します。 |
私たちの方針には「準拠」と書きました。試験をして、目標にしたレベルの項目を全部満たしていることを確かめたからです。
1つ、気をつけることがあります。「AAに一部準拠」と書けるのは、手前のAを全部満たしているときだけです。Aにも満たないものが残っているなら、「Aに一部準拠」になります。
「配慮」は、試験をしていなくても書けます。ただし、そのぶん言えることは狭くなります。「この規格を見ながら作りました」と言えるだけで、どこまで届いているかは言えません。
試験をしていないのに「準拠」や「一部準拠」と書くと、事実と違うことを公開することになります。試験をまだしていない会社が、事実のまま書ける言い方が「配慮」です。手を抜くための言い方ではありません。
この3つの意味のもとは、対応度表記ガイドラインです(画面ではこの語を押すと開きます)。
あとで出てくる3番の欄に書くのは、目標です。2つ書きます。どのレベルを目指すか(AA など)と、最後にどこまで行くつもりか(準拠 など)です。試験の前でも書けます。
いま実際にどこまで届いているかを書くのは、5番の欄です。3つのうちどれになるかは、そこで、試験の結果に合わせて決めます。
試験は、自分でやって、自分で表明できます。第三者の機関に頼まなければならない決まりはありません。私たちも、自分で試験して、自分で表明しています。
方針だけを先に出すこともできます。そのときは、下の欄のうち「現時点の対応度」と「満たすことのできていない達成基準」の2つを空けたまま、目標だけを書きます。達成基準とは、確かめる項目のことです。
空けるときは、見出しを残して1文だけ置きます。たとえば「2026年◯月時点で、試験は実施していません。」です。書き忘れと見分けが付きます。
方針に要る欄
欄は8つです。それぞれ、何を書く欄なのかと、私たちが実際に書いた文を並べます。
見本には、私たちの事情がそのまま入っています。
会社名、サイトのアドレス、日付、試験したページの数、4番に出てくるページの名前(実績のページなど)、連絡先、私たちのサイトの公開の予定(「第2弾」など)は、ご自分のものに置き換えてください。
とくにページの数は、置き換え忘れると事実と違うことを公開することになります。5番の見本に出てくる、試験したページの数と、そのうち実在するページの数のことです。
1. 取り組みの宣言
会社の名前を入れて、どの規格に取り組むのかを1文で書きます。
規格の名前は長いですが、途中で省略せず、下の見本のとおり全部書きます。
これから始める会社も、この欄は書けます。「対応しました」ではなく「取り組んでいます」なので、始める宣言として書けます。
私たちが書いたもの
フォーピーエックス合同会社は、当社のウェブサイトにおいて、アクセシビリティの確保・維持・向上を実現するため「JIS X 8341-3:2016 高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」への対応に取り組んでいます。
2. 対象範囲
どのウェブサイトの、どこまでが対象かを書きます。
対象から外すページがあれば、それも書きます。黙っていると、取引先や、サイトを使う方から、あとで指摘されます。
「除いているページはありません」と書く前に、サイトにあるページを数えてください。数えずに書くと、あとから出てきたページの分だけ、事実と違うことになります。
まだ数えていないときは、5番や6番と同じように「2026年◯月時点で、対象から除いているウェブページの有無は確認できていません。」と書きます。
私たちが書いたもの
フォーピーエックス合同会社のウェブサイト(https://www.4px.jp/ )全体。
現時点で対象から除いているウェブページはありません。
3. 目標とする適合レベル及び対応度
どの段階を目標にするかを書きます。
レベルとは、確かめる項目を段階で束ねたものです。A は25項目、AA はそれに13項目を足した38項目になります。
見本は「目標:」で始まっています。試験をしていなくても、この形のまま書けます。
私たちが書いたもの
目標:JIS X 8341-3:2016 の適合レベル AA に準拠
4. 目標を達成する期限
いつまでに達成するかを書きます。すでに達成しているなら、それを維持することと、次に試験する日を書きます。
下の見本は、達成したあとの書き方です。まだ達成していないときは、たとえば「2027年3月31日までに、適合レベル AA への準拠を達成することを目標とします。」と書き、達成した日に「維持する」へ書き換えます。
ページを足したときに何をするかは、7番にまとめて書けます。この欄には「いつまでに」だけを書けば足ります。
期限を書かないと、試験をやり直さないまま何年も経ち、公開している内容と実物がずれていきます。
私たちが書いたもの
適合レベル AA への準拠は、2026年9月4日に達成しました。以後は、これを維持することを目標とします。
第2弾として追加するウェブページ(実績のページ、サービスごとのページ)は、公開と同時に試験し、本方針を更新します。
以後は毎年3月31日までに、対象範囲の全てのウェブページを改めて試験します。
5. 現時点の対応度
ここは、実際に確かめてから書く欄です。
試験の結果を書きます。試験をしていないうちは、「準拠」も「一部準拠」も書けません。
「準拠」「一部準拠」「配慮」のどれを書くかが決まるのは、この欄です。
試験をしていないときに書けるのは「配慮」だけです。そのときは「JIS X 8341-3:2016 の適合レベル AA に配慮(2026年◯月時点で、試験は実施していません)」のように、試験をしていないことも同じ欄に書きます。
「配慮」も名乗らないのなら、見出しを残して「2026年◯月時点で、試験は実施していません。」とだけ書きます。
いつ、何ページを試験したのかも書きます。
私たちが書いたもの
JIS X 8341-3:2016 の適合レベル AA に準拠(2026年9月14日に実施した試験の結果に基づきます)
この対応度は、2026年9月14日時点の25件のウェブページ(実在する24ページと、存在しないURLを開いたときに表示されるエラーページ)についての表明です。ウェブページを追加すれば、その1ページは試験していない状態になります。追加のたびに対象範囲を更新して試験することを、下記の「今後の対応方針」に定めています。
6. 満たすことのできていない達成基準
ここは、実際に確かめてから書く欄です。
試験の結果を書きます。試験をしていないうちは、この欄も書けません。
満たせていないものは、隠さずに並べます。
「ありません。」と書けるのは、試験をして、満たせないものが1つも無かったときだけです。
5番を空けたまま、この欄だけを「ありません。」で埋めないでください。読む人には「試験をして、問題はゼロだった」と伝わります。
試験がまだのときは、5番と同じように、見出しを残して「2026年◯月時点で、試験は実施していません。」と書きます。
私たちが書いたもの
ありません。
7. 今後の対応方針
ページを足したとき、直したときに何をするかを書きます。
「必要に応じて対応します」で終わらせると、次に何をするかが決まらず、更新されないまま残ります。
下の見本は、1つ目の段落だけが「すでに達成した会社」の文です。2つ目からは、試験の前でもそのまま使えます。
まだ試験をしていないときは、1つ目を「目標の達成に向けて、対象範囲の全てのウェブページを試験し、満たせていないものから直します。」のように書き換えます。
4番は「いつまでに」を書く欄、この欄は「何をするか」を書く欄です。同じことを両方に書く必要はありません。
見本の「ページの洗い出し」は、サイトにあるページを数え直すことです。
私たちが書いたもの
現在の対応度を維持することが、以後の対応の中身になります。ウェブページの追加や改修のたびに試験を行い、満たせなくなった達成基準が出た場合は、本方針の「現時点の対応度」を速やかに下げたうえで修正します。
ウェブページを追加したときは、試験の対象範囲を更新したうえで、追加したページを試験します。試験のたびに、ページの洗い出しからやり直します。
試験を実施するたびに、本方針の「現時点の対応度」および試験結果を更新します。
以後も、ウェブサイトの改修に合わせて試験を継続します。
8. お問い合わせ
方針について聞かれたときの連絡先を書きます。
実際に問い合わせが来ることは少ないのですが、連絡先が無いと、指摘を受け付ける気が無いように見えます。
公開しているメールアドレスが無ければ、問い合わせフォームの場所を書いても構いません。
私たちが書いたもの
本方針および当社ウェブサイトのアクセシビリティについてのお問い合わせは、次のメールアドレスまでお願いします。
info@4px.jp
試験は、機械だけでは終わりません
検査のソフトを走らせると、疑いのある箇所が並びます。私たちは、自分たちで作ったソフトを使っています。どのソフトを使うかは、この資料では扱いません。別の資料も用意していません。
ただしソフトが言えるのは、疑いのある箇所と、測った値(文字の大きさや、文字と背景の明暗の差)までです。満たしているかどうかを決めて文書に書くのは、人です。
私たちのサイトでは、38の達成基準のうち、機械で決まらないものを1つずつ人が見ました。キーボードだけで操作し、画面を拡大して確かめています。さらに、画面には見えないけれど読み上げのソフトだけが読む文字(写真の説明文など)が入っているかを、一覧にして目で確かめました。
やっていないことも書きます。読み上げのソフトを実際に鳴らして、耳で聞く確認はしていません。それを方針にそのまま書いています。
やっていないことを書いた、この1文(読み上げのソフトを実際に鳴らして、耳で聞く確認はしていません)は、8つの欄とは別に、方針の中へ置いています。ご自分の方針でも、欄の外に1段落として添えてください。
まだ試験をしていないときは、この段落に「2026年◯月時点で、試験を実施していないため、確認できていない事項があります。」と書きます。
やっていないことを書いても、名乗れなくなるわけではありません。
書かずにいて、あとから見つかるほうが困ります。
私たちは、作ったウェブサイトを、この試験を通してからお渡ししています。
この試験は、お客さまのサイトでもお引き受けしています。
上の見本は、すべて私たちのウェブアクセシビリティ方針のページから取っています。